記事: GBH FABRIC COLLECTION
GBH FABRIC COLLECTION
FABRIC COLLECTION | BEDDING LINE, BLANKET BLACK, SQUARE ROOM SHOES
日常の「心地よさ」を設計するGBH のデザイナーにインタビュー。第5弾はFabric CollectionからBEDDING、BLANKET BLACK、SQUARE ROOM SHOESの3アイテムを紹介いたします。

Q1. FABRIC COLLECTIONはどのようなコレクションですか?
FABRIC COLLECTIONは、使うほどに自然と馴染んでいく感覚に注目しました。使う人の習慣によって形や質感がパーソナライズされていく美しさを表現したかったので、生活の中で特に使用頻度の高いアイテムを中心に制作しました。
Q2. 各アイテムを企画する際、最もこだわった点について教えてください。
BEDDINGは素材です。 肌に触れる時間が最も長いため、質感と密度にこだわりました。体の温度や動きに自然に反応するよう、何度もウォッシュ加工を施し、品質認証テストを重ねています。
BLANKETは構造です。単なる保温具ではなく、体を包む構造と重みがもたらす「安定感」に焦点を当てました。ソファに掛けておくだけで空間を完成させるオブジェのような存在感を目指しています。
ROOM SHOESは形にこだわりました。 足の曲線に沿ったシルエットと、どんな空間にも静かに調和する形を模索しました。履き込むほどに自分の足の形に馴染んでいくのが特徴です。

Q3. BEDDING LINEは「日常の痕跡」からインスピレーションを得たそうですね。
「家を見れば、その人の人生の痕跡が見える」という言葉に深く共感したことがきっかけです。我が家のソファにも家族それぞれの指定席があるのですが、私がいつも座る場所は、私の体の形に合わせて革がしなやかになり、少し沈み込んでいます。
そこが一番落ち着くし、他の席だとむしろ違和感がある。それこそが「人生の痕跡」だと思うのです。
新品のよりも、時間が染み込んだ柔らかさ、個人の温もりが残るものを作りたい。私たちが考える「日常の痕跡」とは、単なる消耗ではなく、そのモノが自分と共に生きてきた「証」なのです。

Q4. 寝具の素材選びで重要視した基準は何ですか?
瞬間的な「良さ」ではなく、時間が経っても心地よさが持続する素材です。60番手の高密度コットンを何度もウォッシュ加工することで、使うほどに柔らかさとヴィンテージのような質感が自然に生まれます。季節に関係なく、空気や温度の変化に寄り添ってくれるテクスチャーを追求しました。
Q5. どのようなユーザーをイメージして開発されましたか?
流行に流されるのではなく、自分のペースで「嗜好」を楽しんでいる人です。些細な質感の変化に気づき、そこに美しさを見出せる人。日常のモノを大切に扱いながら、内面と外面を丁寧に積み上げている人。そんな思慮深い方の生活に、自然に溶け込む製品でありたいと願っています。

Q6. カラーや質感など、細部のこだわりについて教えてください。
人工的な色よりも、時間が作り出したような自然な色調と質感にこだわりました。天然染色工程によって、ほのかに色褪せたようなエイジングを目指しています。
例えば「ナットボタン」もその一つです。プラスチックのように均一ではなく、一つひとつ素材本来の形が活かされています。その「不均一さ」が温かみを生むのです。また、目立たない場所に刻んだロゴの刺繍も、「いつか発見されるのを待っている小さな痕跡」としての意図を込めています。

Q7. GBHが考える「日常の中の休息」とは、どのような姿でしょうか?
自分が選び、使い込んできたモノに囲まれた家。そんな安息の地で、自分の内面と静かに向き合える時間を「日常の中の休息」だと考えています。
肌に触れる感触だけで心が解け、緊張が和らぐ。そんな雰囲気を作る重要な要素が寝具です。良い寝具とは、真の休息へと導くための「媒介」なのだと思います。
Q8. 「BLANKET BLACK」は、遊び毛が少なく、ゆったりとしたサイズ感が特徴です。質感は素材はどのようなものを採用しましたか?
精製された短毛(たんもう)を使用することで、ソフトな質感でありながら構造的な存在感を持たせました。一般的なフリース素材のブランケットよりも密度を高めているため、遊び毛や毛玉がほとんど発生しません。
また、形が崩れにくいため、ただそこにあるだけで空間を彩る「インテリア」のような役割も果たしてくれます。
Q9. BLANKET BLACKとGBHの花札と組み合わせたビジュアルが印象的でした。製品を構想する段階で、どのような「日常のシーン」を思い描いたのですか?
ある日、偶然目にした「軍用毛布」がきっかけでした。厚みがしっかりしていて表面がマットな質感だったので、ふと「この上で花札をしたら最高に心地いいだろうな」と閃いたんです。その瞬間、これは単なるブランケットではなく、遊びの背景となる「フィールド」にもなり得ると確信しました。単に体を覆うだけではない、多面的なシーンを想像して形にしました。

Q10. 厚み、密度、使用感など、素材のバランスを整える上で最も重視したポイントはどこですか?
「温かさ」と「構造美」の両立です。しっかりとした質感は維持しつつ、肌に触れた時に硬さや不快感を与えないよう、密度と厚みをミリ単位で調整しました。テンセルの滑らかな質感とレーヨンのしなやかさが調和し、表面は凛としていながらも、触れると柔らかく、心地よい重みの温かさを感じることができます。

Q11. ブランケットとルームシューズ、どちらも「ブラック」が採用されていますね。GBHにとって「ブラック」はどのような役割を持つ色なのでしょうか?
私たちにとってのブラックは、形と質感を最も鮮明に際立たせるカラーです。光の当たり方や表面のキメによって微妙に色の深みが変化するため、素材が持つ構造やシルエットの完成度を、最も正直に映し出す色でもあります。
ですから、ブラックを選ぶことは私たちの「デザインに対する確信」の表現でもあります。土台となる基本設計が堅実でなければ、すべてが露呈してしまう色だからです。

Q12. ルームシューズは「スクエアトゥ(四角い爪先)」のシルエットで完成されました。この形を選んだ理由と、デザインに込めた印象を教えてください。
スクエアトゥを選んだのは、形が持つ「端正さ」を強調したかったからです。ラウンド(丸型)よりもラインがはっきりしているため、足元がスッキリと整い、モダンな存在感を放ちます。どんな空間においても、静かにその場の均衡を保つような役割を担ってほしいと考えました。

Q13. 一般的なスリッパよりも、しっかりとした厚みのある履き心地が印象的です。素材選びの理由と、GBHが考える「心地よさの基準」を教えてください。
GBHが定義する心地よさとは、単に柔らかいことや、フカフカしている状態を指すのではありません。むしろ、使い込むほどに自分の身体に馴染んでいき、時間が経つことで「自分だけのもの」として完成される状態のことです。
このルームシューズも、最初は少し硬さを感じるかもしれません。しかし、高密度スポンジが足の形を捉え、徐々にしなやかな履き心地へと変化していきます。コットン100%のオックスフォード生地も、一年中快適に過ごせるよう、絶妙な厚みでバランスを取りました。私たちが提案する「心地よさ」の本質は、一瞬の感触よりも、時間が育んでくれる「慣れ」と「安定感」にあるのです。

Q14. 「BEDDING LINE」「BLANKET BLACK」「SQUARE ROOM SHOES」はいずれも、家で過ごす「安らぎの瞬間」に寄り添うアイテムです。どのような時間を提案したいと考えましたか?
どの空間に置いても自然と視線が留まり、心身ともに預けられるような「安らぎを感じる時間」 を届けたいと考えました。目まぐるしく変化する日常の中で、ふと足を止めて呼吸を整える。自分だけの空間で目と心が浄化されるような、そんな瞬間のための提案です。
Q16. 今回のFABRIC COLLECTIONを通して、GBHが新たに提示した「心地よさの基準」とは何でしょうか?
時間の経過とともに、身体と空間に自然に馴染んでいく心地よさです。最初は少しだけ「よそ行き」の感覚があるかもしれませんが、使い込むほどに自分だけの痕跡が刻まれ、そこに唯一無二の安定感が生まれていく過程。その緩やかな変化の中にこそ、本物の心地よさがあると考えています。 BEDDING、BLANKET、ROOM SHOESはすべて、その「馴染んでいく時間」を前提に作られたアイテムです。私たちが語る心地よさとは、使う人と共に完成されていく「馴染み」の感覚なのです。

Q17. 今後、FABRIC COLLECTIONのラインナップにおいて、挑戦してみたい領域や新しい試みがあれば教えてください。
ファブリックをベースにした家具やオブジェへに興味があります。スツールやクッションチェアのように、実用性を基盤としながらも、形態と感触が美しく調和するアイテムを作ってみたいですね。 ファブリックは私たちの身体に最も密接に触れる素材ですから、わずかな違いが完成度を左右します。縫製の精巧さ、糸の質感、生地の密度や色調といった細部を一つの「感覚的な体験」として繋げていきたい。確かな品質を土台に、日常の小さなストレスを解消する「細やかな配慮」を添えたプロダクトを展開していきたいです。


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